陛下・皇太子殿下・秋篠宮 三者会談の目的は何か? 6~真相はいかに?官邸・宮内庁を巻き込んだ新潮記事の重大性③生前退位の真の目的は、皇太子殿下を玉座から引きずり下ろすことにあった!?
今回ご紹介する記事が、国会図書館で検索・閲覧不可能となっていたものです。
この記事のどこかに、どうしても存在自体を闇に葬って「なかったことにしたい」原因が隠されているのだと思います。
おそらく「今上陛下の生前退位」に関する核心が書かれているのでしょう。
週刊新潮2013年6月20日号
特集 「雅子妃」不適格で「悠仁親王」即位への道
■「皇太子即位の後の退位」で皇室典範改正を打診した宮内庁
雅子妃の長期療養がもたらした御所と東宮の深い溝。次第に数を減らす一方の皇族方。暗雲が垂れ込める皇室で、かつてこれほど皇統断絶の危機が叫ばれたことはあるまい。そこで前章でも触れた通り、現下、宮内庁は当面の問題を解決するため、ウルトラCの方策を企図。密使が安倍内閣へ伝えた腹案の詳細とは―。
「女性宮家の創設は両陛下の強いご意向でした。これも叶わぬ今、当庁としては妃殿下のご苦悩を取り除くことを優先したい。皇室制度のあり方を変えなければ、この問題は解決できないというのが我々の立場です」
今年2月1日。悲壮な決意を秘めた宮内庁の密使が総理官邸を訪れたのは、薄暮が迫る午後4時50分頃のことだった。安倍晋三総理に対し、概ねこう述べた密使は、次のように言葉を継いだという。
「今晩の両陛下とのご夕食会でもこの話が出るものと思います。くれぐれも熟慮のほど、よろしくお願い致します」
安倍総理に、宮内庁が抱える問題を説明したこの密使とは、元国交省事務次官で、現在の宮内庁トップ、風岡典之長官、その人である。この日の夜、皇居で、天皇・皇后両陛下は、安倍総理とファーストレディの昭恵夫人を夕餉に招くことになっていた。その2時間ほど前に、風岡長官は、前もって懸案事項を総理に伝える、露払い役を果していたわけだ。
「実は、この安倍さんとの会談に先立つ1月半ばにも、風岡さんは菅義偉・官房長官と面談し、宮内庁の課題を説明しています」
と語るのは、官邸関係者。
「当初は1時間の予定でしたが、アルジェリアで人質事件が発生し、菅さんはその対応に追われていたため、会談時間は半分ほどに短縮されました。それでも両陛下の健康状態や公務軽減の問題など当面の課題が説明されたうえ、“女性宮家創設”についても、両陛下のご意向だった旨が伝えられたと言います。そして最後に雅子さまの諸問題を解決する手立てとして、皇位継承をめぐる皇室典範の一部改正が提案されました」
その詳細をお伝えする前に、皇統の安定的な継承を実現するために行われてきた、政府の過去の取り組みを振り返っておきたい。
皇太子ご夫妻の間に第2子誕生の兆しが見えなかった2004年末。小泉政権下で、女性の皇位継承を探るための「皇室典範に関する有識者会議」が設置され、女性・女系天皇の是非をめぐる議論がスタートした。しかし、その最中に秋篠宮紀子妃がご懐妊。悠仁さまご誕生の僥倖に恵まれたため、この論議が雲散霧消したことはご承知の通りだ。
もっとも皇室に男系男子は少なく、皇統の危機が去ったわけではない。悠仁さま即位の頃には、公務を分担する皇族はほとんどいなくなる状況が予想された。
そこで民主党政権時代の一昨年秋、当時の羽毛田信吾・宮内庁長官が野田佳彦総理に皇室典範改正による「女性宮家創設」を要請。しかし、「女系天皇への道を開く危険性がある」という批判が識者の間に根強くあり、民主党内にも反対論者が多かった。
「国民からの意見公募も行い、二十数万もの意見が寄せられましたが、そこでも圧倒的に反対が賛成を上回った。これでは国民の理解も得られないと野田内閣は恐れをなし、断念に追い込まれた経緯があります」(政治部デスク)
危機を前に揺らぐ皇室。追い込まれた宮内庁は、間近に差し迫った問題から優先して対処することに。それが風岡長官による、安倍内閣への“皇位継承をめぐる制度の改正”の要請なのだ。警察庁幹部が声を潜めて明かす。
「具体的には『天皇が自らの意思で生前に退位し、譲位することができる』ならびに『皇位継承を辞退できる』ことを可能とする条文を皇室典範に付記するというものです。風岡さんは、総理らに大方針を伝えた後、官邸に詰める政府高官らに詳細を説明し、以後は必要に応じて、電話等でやりとりしていると言います」
◆「王冠を賭けた恋」の先例も
現行制度では、天皇は終身在位で、崩御されるまでお務めいただくことになっているが…。宮内庁が官邸に示した考えはこうだ。
「まず今上陛下には最後まで天皇としての重責を全うしていただく。そして将来、身罷られた後は、皇位継承順位1位の皇太子さまが天皇に即位する。ここまでは、これまで通り。しかし、皇太子さまには比較的早い段階で退位し、皇位を次の方に譲っていただく。譲位のお相手は、現在、継承順位第2位の秋篠宮さまではなく、そのご長男の悠仁親王だというのです」(同)
そのため、秋篠宮にも皇位を辞退する権利を認めるという。俄かには信じ難い話だが、先の官邸関係者もこう言う。
「宮内庁側は“皇太子殿下が即位しないとハレーションが大きいので、天皇にはなっていただくが、未だご病気の完治しない雅子さまには皇后の重責は果たせない”と考えています。このままではご公務が“片肺飛行”になってしまうので、なるべく早く譲位していただくということです」
これについて、識者は、
「秋篠宮さまを皇位継承から外すのは非民主的で理解できません。ただ宮内庁が、皇室の繁栄を考え、生前退位や継承辞退の典範改正を考えるのは自然なことで、研究を続けてきたのかもしれませんね」(皇室ジャーナリストの神田秀一氏)
元宮内庁職員で、皇室ジャーナリストの山下晋司氏も、
「明治以前は、皇位継承について明文化されたルールはなく、天皇の生前譲位や辞退が行われていました。また海外に目を転じれば、皇太子同妃両殿下が参列されたオランダの国王即位式は、まさにベアトリックス女王が、公務の継続が難しくなり、退位したから行われたものです。個人的には違和感を覚えますが、譲位や辞退はありえない話ではない。世論が支持するなら、国民の負託を受けた国会議員が是非を判断すれば良い」
確かに、歴史を振り返れば、日本の皇室と馴染みの深い英国王室でも、1930年代にエドワード8世が、離婚歴のある米国人の人妻との愛に溺れ、結婚の道を選択して、王位を捨てた先例がある。世に言う「王冠を賭けた恋」である。
「“女性宮家創設”は、安倍総理が反対論者だし、“女系天皇誕生への道を開く”とあちこちから大ブーイングを受け、潰されるのは必至。しかし、今回の案なら、“男系による万世一系”は侵されない。さほど反対は起こらず、国会への法案提出へのハードルは低いという計算が宮内庁にはある」(前出・警察庁幹部)
内閣官房ではこの典範改正が実現可能か、密かに検討が進められているという。
(終わり)
さて、皆様は、上記記事のどこがどのように問題になって、国会図書館から“消された”とお感じになったでしょうか。
上記記事は、宮内庁と官邸が実際どの時期に会い、どのように会談したのか、何を話し合ったのか、かなり詳細な内容が書かれています。
後ほどこのブログでも触れますが、官邸と宮内庁はどちらも上記記事に「反論」を行っています。
しかし、上記記事をまったくのガセ・デマと片づけてしまうのには、あまりにも内容が具体的すぎるのです。
実際、典範改正とまではいきませんでしたが、今上陛下の生前退位が実現の運びになるのは確実となりましたし、今上陛下の生前退位を受けて(たとえ恒久法でなくても)それを“前例”として、新天皇陛下となられる皇太子殿下にも早期の退位を迫りたい勢力がつけあがる余地を作ってしまったのは事実でしょう。
週刊誌レベルで終わった話なら我々も笑って過ごせますが、現実に今上陛下の生前退位特例法が作られ、「崩御以外の天皇の退位」という道を開いてしまった現実がある以上、私は上記新潮記事がガセ・デマだったと思うことはできません。
むしろ、皇室は新潮記事の書く内容の通りに動きつつあると感じてしまいます。
また、上記記事はあくまでも話し合いの主体を「官邸」と「宮内庁」と書いていますが、何度も言う通り、宮内庁が独断で勝手に動けるはずがないのです。女性宮家の件でも分かる通り、宮内庁は「両陛下」のご意向を受けて政府側と接触しています。
そうであるならこの「皇太子殿下早期退位論」も「悠仁様へ皇位を移す」ことも、両陛下のご希望だと考えるのが自然だと思います。
そして安倍政権はこれまでの思想を見ていると、男系男子維持に固執しています。
皇太子殿下(男系)→敬宮愛子様(男系)→女系のお子様、という皇統になるよりは、
秋篠宮様(男系)→悠仁様(男系)→男系(男子)、という皇統になることを安易に望んでいるのかもしれません。
もし仮に両陛下=宮内庁と時の政府(官邸)が国民の知らぬところで勝手に密談し、勝手に「皇太子殿下をさっさと退位させて、場合によっては秋篠宮様もすっ飛ばして、悠仁様(まだ未成年のうちに?)に皇位を移そうぜ!」という取り決めをしていたことが事実ならどうなるか。それはもう、宮内庁も政府も「不敬」「民主主義の破壊」どころではない激しい批判を受けることは免れないことになりますね。
国民の大半は東宮ご一家を応援し同情し、天皇直系のお血筋である敬宮愛子様に天皇になっていただきたいと願っています。男とか女とか関係なく、直系長子のお子様が皇位を継ぐのが一番良いと考える国民は思いのほか多いのです(それは過去の世論調査を見れば分かります)。
しかしそんな国民の願いを完全に無視して、勝手に皇太子殿下を排除、敬宮様よりも秋篠宮様のことを優先、さらに悠仁様まで一気に皇位を移すとなれば、国民の反発は想像を絶するものになるでしょう。
民意を無視した密談を勝手に行ったことは、当然官邸にとっても宮内庁にとってもまずい話になります。
それでは、国会図書館から上記記事が「消えた」理由は何なのか。
ここで検討すべき項目としては以下のようなことが挙げられます。
●上記新潮記事はガセ・デマであるため、嘘記事を後世に残すことは好ましくないので削除する方向になった。
●上記新潮記事はほぼ事実であるため、真実を後世に残すことはまずいと判断し、“闇に葬る”ことに決めた。
●上記記事を国会図書館で検索・閲覧できないようにさせたのは新潮社である。
●上記記事を国会図書館で検索・閲覧できないようにさせたのは宮内庁=両陛下である。
●上記記事を国会図書館で検索・閲覧できないようにさせたのは現政権(官邸)である。
●上記記事を国会図書館で検索・閲覧できないようにさせたのは国会図書館である(独自の判断で忖度したということ)。
上2つの項目と、下4つの項目で、8通りの組み合わせが可能となります。
後で上記記事に対し反論することになった官邸と宮内庁としては、
●上記新潮記事はガセ・デマであるため、嘘記事を後世に残すことは好ましくないので削除する方向になった。
ということを強調したいところでしょう。
しかし、宮内庁と官邸の密談の内容がかなり具体的であることや、現実に今上陛下の生前退位が決定してしまい、今後の皇太子殿下のお立場もどうなるか分からないという余地が作られてしまった事実に鑑みると、どうしても
●上記新潮記事はほぼ事実であるため、真実を後世に残すことはまずいと判断し、“闇に葬る”ことに決めた。
という疑いが晴れることはないと思います。
もちろん、上記新潮記事の内容にもいくつか疑問がないわけではありません。
上記記事では官邸サイドも皇太子殿下のお立場を軽んじ、早期に退位させればいいと考えているように読めてしまいます。
しかし、生前退位法案を「恒久法」にしてほしいと強く願ったのはあくまでも今上陛下であり、官邸(政府)は「それでは生前退位を際限なく繰り返して皇位継承を不安定にさせる」という危惧から、「特例法」留まりとした経緯があります。また政府は今上陛下の生前退位自体が違憲の疑いがあるという理由で反対し、皇太子殿下を摂政にすればよいではないかという意見も出ていたといいます。今上陛下が生前退位を希望されているという第一報が出た当時、記者の囲み取材を終えた安倍総理が不機嫌そうな態度でその場を後にしたシーンを私はよく覚えています。
この点を見れば、官邸(政府)は今上陛下のご意向を快く思っていなかった?と見ることもできます。
2013年当時に宮内庁と官邸の密談があったことは事実だが、実は官邸サイドは宮内庁が提示した案には賛成していなかった?
あるいは、当時は賛成していたが、密談の内容が世間にバレてまずい立場になったので翻意することにした?
ということも考えられます。
そうすると、2013年当時とほとんど考えを変えていないのは、宮内庁=(両)陛下ということになりますね。
とにかく今上陛下が「生前退位は後世の天皇にも法的効力をもたらす恒久法としてほしい」というご希望を持っていたことは事実のようです。
そうすれば皇太子殿下、秋篠宮様もその法に縛られて、生前退位が容易に実現することにつながります。
ほかにも、上記新潮記事にいくつかツッコミを。
●「皇太子殿下を早期に退位させ、秋篠宮家に皇統を移す」という案を、さもご病気の雅子様のことも考えてひねり出した苦肉の策のような言い分にしているが、皇太子殿下のお立場をないがしろにすることがなぜ「雅子様の苦悩を取り除くことにもなる」という発想になるのか理解不能。かえって雅子様を更に追い詰め、苦しめることになると考えるのが自然。「私のせいで殿下は天皇になれなかった」という負い目を雅子様に負わせることにならないか。
●「公務は夫婦一緒でないといけない」ということをなぜここまで重視しているのかも理解不能。「片肺飛行」とか意味の分からないことを言い、オランダ前女王の件について触れているのに、その前女王の亡き夫も精神的病で公務に出られなかったことがあるという事実は完全にスルーしているのも納得いかない。そもそも前女王が退位したのは「公務の継続が難しくなったから」ではなく「年齢が若いうちに次の国王となる息子に地位を譲り、王室の未来を託したかった(息子を信頼していた)」からという前向きで明るい理由である。あまりにもオランダ王室事情について無知であるし、何も知らない読者を騙していることにもなる。前女王は今でも一王女の立場に降りて地道に公務をなさっている。
●「夫婦一緒の公務」に異様にこだわっている割には、まだ未成年で当然伴侶もいない悠仁様に執拗に皇位を渡そうとしていることは明らかな矛盾ではないのか。幼い悠仁様を早期に即位させたがっているのにはほかに重大な理由があるからではないのか。
●「皇太子殿下を露骨に即位させないと国民からのハレーションが大きくなる」ということを十分に分かっているのに「それでも早期に退位させる」ということに固執する神経も理解不能。
●皇太子殿下には早期退位を迫るくせに「秋篠宮様を皇位から外すことは非民主的で理解できない」という言い分にも矛盾がある。「皇太子殿下の早期退位も非民主的だ」となぜ誰も言わないのか。
●皇太子殿下や敬宮様を露骨に排除することがどうして「皇室の繁栄」につながるのかも理解不能。
●なお、女性宮家案が国民から大反発を受けたのは、男系男子カルト連中からの組織的攻撃があったからという説と、「秋篠宮家だけがメリットを受ける(眞子様佳子様が皇室に残れ秋篠宮家だけが一人勝ち状態になる)女性宮家など到底受け入れられない」というまっとうな感覚をもった国民の反対が多かったから、という説がある。
あまりにもツッコミ所が多くて馬鹿馬鹿しいのですが、それでも上記記事が「消された」という事実は重く見なければいけません。憲法で保障された「国民の知る権利」を侵害していると言えるからです。
上記記事が闇に葬られた理由。一人でも多くの方に、考えていただければと思います。
この記事のどこかに、どうしても存在自体を闇に葬って「なかったことにしたい」原因が隠されているのだと思います。
おそらく「今上陛下の生前退位」に関する核心が書かれているのでしょう。
週刊新潮2013年6月20日号
特集 「雅子妃」不適格で「悠仁親王」即位への道
■「皇太子即位の後の退位」で皇室典範改正を打診した宮内庁
雅子妃の長期療養がもたらした御所と東宮の深い溝。次第に数を減らす一方の皇族方。暗雲が垂れ込める皇室で、かつてこれほど皇統断絶の危機が叫ばれたことはあるまい。そこで前章でも触れた通り、現下、宮内庁は当面の問題を解決するため、ウルトラCの方策を企図。密使が安倍内閣へ伝えた腹案の詳細とは―。
「女性宮家の創設は両陛下の強いご意向でした。これも叶わぬ今、当庁としては妃殿下のご苦悩を取り除くことを優先したい。皇室制度のあり方を変えなければ、この問題は解決できないというのが我々の立場です」
今年2月1日。悲壮な決意を秘めた宮内庁の密使が総理官邸を訪れたのは、薄暮が迫る午後4時50分頃のことだった。安倍晋三総理に対し、概ねこう述べた密使は、次のように言葉を継いだという。
「今晩の両陛下とのご夕食会でもこの話が出るものと思います。くれぐれも熟慮のほど、よろしくお願い致します」
安倍総理に、宮内庁が抱える問題を説明したこの密使とは、元国交省事務次官で、現在の宮内庁トップ、風岡典之長官、その人である。この日の夜、皇居で、天皇・皇后両陛下は、安倍総理とファーストレディの昭恵夫人を夕餉に招くことになっていた。その2時間ほど前に、風岡長官は、前もって懸案事項を総理に伝える、露払い役を果していたわけだ。
「実は、この安倍さんとの会談に先立つ1月半ばにも、風岡さんは菅義偉・官房長官と面談し、宮内庁の課題を説明しています」
と語るのは、官邸関係者。
「当初は1時間の予定でしたが、アルジェリアで人質事件が発生し、菅さんはその対応に追われていたため、会談時間は半分ほどに短縮されました。それでも両陛下の健康状態や公務軽減の問題など当面の課題が説明されたうえ、“女性宮家創設”についても、両陛下のご意向だった旨が伝えられたと言います。そして最後に雅子さまの諸問題を解決する手立てとして、皇位継承をめぐる皇室典範の一部改正が提案されました」
その詳細をお伝えする前に、皇統の安定的な継承を実現するために行われてきた、政府の過去の取り組みを振り返っておきたい。
皇太子ご夫妻の間に第2子誕生の兆しが見えなかった2004年末。小泉政権下で、女性の皇位継承を探るための「皇室典範に関する有識者会議」が設置され、女性・女系天皇の是非をめぐる議論がスタートした。しかし、その最中に秋篠宮紀子妃がご懐妊。悠仁さまご誕生の僥倖に恵まれたため、この論議が雲散霧消したことはご承知の通りだ。
もっとも皇室に男系男子は少なく、皇統の危機が去ったわけではない。悠仁さま即位の頃には、公務を分担する皇族はほとんどいなくなる状況が予想された。
そこで民主党政権時代の一昨年秋、当時の羽毛田信吾・宮内庁長官が野田佳彦総理に皇室典範改正による「女性宮家創設」を要請。しかし、「女系天皇への道を開く危険性がある」という批判が識者の間に根強くあり、民主党内にも反対論者が多かった。
「国民からの意見公募も行い、二十数万もの意見が寄せられましたが、そこでも圧倒的に反対が賛成を上回った。これでは国民の理解も得られないと野田内閣は恐れをなし、断念に追い込まれた経緯があります」(政治部デスク)
危機を前に揺らぐ皇室。追い込まれた宮内庁は、間近に差し迫った問題から優先して対処することに。それが風岡長官による、安倍内閣への“皇位継承をめぐる制度の改正”の要請なのだ。警察庁幹部が声を潜めて明かす。
「具体的には『天皇が自らの意思で生前に退位し、譲位することができる』ならびに『皇位継承を辞退できる』ことを可能とする条文を皇室典範に付記するというものです。風岡さんは、総理らに大方針を伝えた後、官邸に詰める政府高官らに詳細を説明し、以後は必要に応じて、電話等でやりとりしていると言います」
◆「王冠を賭けた恋」の先例も
現行制度では、天皇は終身在位で、崩御されるまでお務めいただくことになっているが…。宮内庁が官邸に示した考えはこうだ。
「まず今上陛下には最後まで天皇としての重責を全うしていただく。そして将来、身罷られた後は、皇位継承順位1位の皇太子さまが天皇に即位する。ここまでは、これまで通り。しかし、皇太子さまには比較的早い段階で退位し、皇位を次の方に譲っていただく。譲位のお相手は、現在、継承順位第2位の秋篠宮さまではなく、そのご長男の悠仁親王だというのです」(同)
そのため、秋篠宮にも皇位を辞退する権利を認めるという。俄かには信じ難い話だが、先の官邸関係者もこう言う。
「宮内庁側は“皇太子殿下が即位しないとハレーションが大きいので、天皇にはなっていただくが、未だご病気の完治しない雅子さまには皇后の重責は果たせない”と考えています。このままではご公務が“片肺飛行”になってしまうので、なるべく早く譲位していただくということです」
これについて、識者は、
「秋篠宮さまを皇位継承から外すのは非民主的で理解できません。ただ宮内庁が、皇室の繁栄を考え、生前退位や継承辞退の典範改正を考えるのは自然なことで、研究を続けてきたのかもしれませんね」(皇室ジャーナリストの神田秀一氏)
元宮内庁職員で、皇室ジャーナリストの山下晋司氏も、
「明治以前は、皇位継承について明文化されたルールはなく、天皇の生前譲位や辞退が行われていました。また海外に目を転じれば、皇太子同妃両殿下が参列されたオランダの国王即位式は、まさにベアトリックス女王が、公務の継続が難しくなり、退位したから行われたものです。個人的には違和感を覚えますが、譲位や辞退はありえない話ではない。世論が支持するなら、国民の負託を受けた国会議員が是非を判断すれば良い」
確かに、歴史を振り返れば、日本の皇室と馴染みの深い英国王室でも、1930年代にエドワード8世が、離婚歴のある米国人の人妻との愛に溺れ、結婚の道を選択して、王位を捨てた先例がある。世に言う「王冠を賭けた恋」である。
「“女性宮家創設”は、安倍総理が反対論者だし、“女系天皇誕生への道を開く”とあちこちから大ブーイングを受け、潰されるのは必至。しかし、今回の案なら、“男系による万世一系”は侵されない。さほど反対は起こらず、国会への法案提出へのハードルは低いという計算が宮内庁にはある」(前出・警察庁幹部)
内閣官房ではこの典範改正が実現可能か、密かに検討が進められているという。
(終わり)
さて、皆様は、上記記事のどこがどのように問題になって、国会図書館から“消された”とお感じになったでしょうか。
上記記事は、宮内庁と官邸が実際どの時期に会い、どのように会談したのか、何を話し合ったのか、かなり詳細な内容が書かれています。
後ほどこのブログでも触れますが、官邸と宮内庁はどちらも上記記事に「反論」を行っています。
しかし、上記記事をまったくのガセ・デマと片づけてしまうのには、あまりにも内容が具体的すぎるのです。
実際、典範改正とまではいきませんでしたが、今上陛下の生前退位が実現の運びになるのは確実となりましたし、今上陛下の生前退位を受けて(たとえ恒久法でなくても)それを“前例”として、新天皇陛下となられる皇太子殿下にも早期の退位を迫りたい勢力がつけあがる余地を作ってしまったのは事実でしょう。
週刊誌レベルで終わった話なら我々も笑って過ごせますが、現実に今上陛下の生前退位特例法が作られ、「崩御以外の天皇の退位」という道を開いてしまった現実がある以上、私は上記新潮記事がガセ・デマだったと思うことはできません。
むしろ、皇室は新潮記事の書く内容の通りに動きつつあると感じてしまいます。
また、上記記事はあくまでも話し合いの主体を「官邸」と「宮内庁」と書いていますが、何度も言う通り、宮内庁が独断で勝手に動けるはずがないのです。女性宮家の件でも分かる通り、宮内庁は「両陛下」のご意向を受けて政府側と接触しています。
そうであるならこの「皇太子殿下早期退位論」も「悠仁様へ皇位を移す」ことも、両陛下のご希望だと考えるのが自然だと思います。
そして安倍政権はこれまでの思想を見ていると、男系男子維持に固執しています。
皇太子殿下(男系)→敬宮愛子様(男系)→女系のお子様、という皇統になるよりは、
秋篠宮様(男系)→悠仁様(男系)→男系(男子)、という皇統になることを安易に望んでいるのかもしれません。
もし仮に両陛下=宮内庁と時の政府(官邸)が国民の知らぬところで勝手に密談し、勝手に「皇太子殿下をさっさと退位させて、場合によっては秋篠宮様もすっ飛ばして、悠仁様(まだ未成年のうちに?)に皇位を移そうぜ!」という取り決めをしていたことが事実ならどうなるか。それはもう、宮内庁も政府も「不敬」「民主主義の破壊」どころではない激しい批判を受けることは免れないことになりますね。
国民の大半は東宮ご一家を応援し同情し、天皇直系のお血筋である敬宮愛子様に天皇になっていただきたいと願っています。男とか女とか関係なく、直系長子のお子様が皇位を継ぐのが一番良いと考える国民は思いのほか多いのです(それは過去の世論調査を見れば分かります)。
しかしそんな国民の願いを完全に無視して、勝手に皇太子殿下を排除、敬宮様よりも秋篠宮様のことを優先、さらに悠仁様まで一気に皇位を移すとなれば、国民の反発は想像を絶するものになるでしょう。
民意を無視した密談を勝手に行ったことは、当然官邸にとっても宮内庁にとってもまずい話になります。
それでは、国会図書館から上記記事が「消えた」理由は何なのか。
ここで検討すべき項目としては以下のようなことが挙げられます。
●上記新潮記事はガセ・デマであるため、嘘記事を後世に残すことは好ましくないので削除する方向になった。
●上記新潮記事はほぼ事実であるため、真実を後世に残すことはまずいと判断し、“闇に葬る”ことに決めた。
●上記記事を国会図書館で検索・閲覧できないようにさせたのは新潮社である。
●上記記事を国会図書館で検索・閲覧できないようにさせたのは宮内庁=両陛下である。
●上記記事を国会図書館で検索・閲覧できないようにさせたのは現政権(官邸)である。
●上記記事を国会図書館で検索・閲覧できないようにさせたのは国会図書館である(独自の判断で忖度したということ)。
上2つの項目と、下4つの項目で、8通りの組み合わせが可能となります。
後で上記記事に対し反論することになった官邸と宮内庁としては、
●上記新潮記事はガセ・デマであるため、嘘記事を後世に残すことは好ましくないので削除する方向になった。
ということを強調したいところでしょう。
しかし、宮内庁と官邸の密談の内容がかなり具体的であることや、現実に今上陛下の生前退位が決定してしまい、今後の皇太子殿下のお立場もどうなるか分からないという余地が作られてしまった事実に鑑みると、どうしても
●上記新潮記事はほぼ事実であるため、真実を後世に残すことはまずいと判断し、“闇に葬る”ことに決めた。
という疑いが晴れることはないと思います。
もちろん、上記新潮記事の内容にもいくつか疑問がないわけではありません。
上記記事では官邸サイドも皇太子殿下のお立場を軽んじ、早期に退位させればいいと考えているように読めてしまいます。
しかし、生前退位法案を「恒久法」にしてほしいと強く願ったのはあくまでも今上陛下であり、官邸(政府)は「それでは生前退位を際限なく繰り返して皇位継承を不安定にさせる」という危惧から、「特例法」留まりとした経緯があります。また政府は今上陛下の生前退位自体が違憲の疑いがあるという理由で反対し、皇太子殿下を摂政にすればよいではないかという意見も出ていたといいます。今上陛下が生前退位を希望されているという第一報が出た当時、記者の囲み取材を終えた安倍総理が不機嫌そうな態度でその場を後にしたシーンを私はよく覚えています。
この点を見れば、官邸(政府)は今上陛下のご意向を快く思っていなかった?と見ることもできます。
2013年当時に宮内庁と官邸の密談があったことは事実だが、実は官邸サイドは宮内庁が提示した案には賛成していなかった?
あるいは、当時は賛成していたが、密談の内容が世間にバレてまずい立場になったので翻意することにした?
ということも考えられます。
そうすると、2013年当時とほとんど考えを変えていないのは、宮内庁=(両)陛下ということになりますね。
とにかく今上陛下が「生前退位は後世の天皇にも法的効力をもたらす恒久法としてほしい」というご希望を持っていたことは事実のようです。
そうすれば皇太子殿下、秋篠宮様もその法に縛られて、生前退位が容易に実現することにつながります。
ほかにも、上記新潮記事にいくつかツッコミを。
●「皇太子殿下を早期に退位させ、秋篠宮家に皇統を移す」という案を、さもご病気の雅子様のことも考えてひねり出した苦肉の策のような言い分にしているが、皇太子殿下のお立場をないがしろにすることがなぜ「雅子様の苦悩を取り除くことにもなる」という発想になるのか理解不能。かえって雅子様を更に追い詰め、苦しめることになると考えるのが自然。「私のせいで殿下は天皇になれなかった」という負い目を雅子様に負わせることにならないか。
●「公務は夫婦一緒でないといけない」ということをなぜここまで重視しているのかも理解不能。「片肺飛行」とか意味の分からないことを言い、オランダ前女王の件について触れているのに、その前女王の亡き夫も精神的病で公務に出られなかったことがあるという事実は完全にスルーしているのも納得いかない。そもそも前女王が退位したのは「公務の継続が難しくなったから」ではなく「年齢が若いうちに次の国王となる息子に地位を譲り、王室の未来を託したかった(息子を信頼していた)」からという前向きで明るい理由である。あまりにもオランダ王室事情について無知であるし、何も知らない読者を騙していることにもなる。前女王は今でも一王女の立場に降りて地道に公務をなさっている。
●「夫婦一緒の公務」に異様にこだわっている割には、まだ未成年で当然伴侶もいない悠仁様に執拗に皇位を渡そうとしていることは明らかな矛盾ではないのか。幼い悠仁様を早期に即位させたがっているのにはほかに重大な理由があるからではないのか。
●「皇太子殿下を露骨に即位させないと国民からのハレーションが大きくなる」ということを十分に分かっているのに「それでも早期に退位させる」ということに固執する神経も理解不能。
●皇太子殿下には早期退位を迫るくせに「秋篠宮様を皇位から外すことは非民主的で理解できない」という言い分にも矛盾がある。「皇太子殿下の早期退位も非民主的だ」となぜ誰も言わないのか。
●皇太子殿下や敬宮様を露骨に排除することがどうして「皇室の繁栄」につながるのかも理解不能。
●なお、女性宮家案が国民から大反発を受けたのは、男系男子カルト連中からの組織的攻撃があったからという説と、「秋篠宮家だけがメリットを受ける(眞子様佳子様が皇室に残れ秋篠宮家だけが一人勝ち状態になる)女性宮家など到底受け入れられない」というまっとうな感覚をもった国民の反対が多かったから、という説がある。
あまりにもツッコミ所が多くて馬鹿馬鹿しいのですが、それでも上記記事が「消された」という事実は重く見なければいけません。憲法で保障された「国民の知る権利」を侵害していると言えるからです。
上記記事が闇に葬られた理由。一人でも多くの方に、考えていただければと思います。